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トピックス

海外新薬が日本で承認される期間が大幅に短縮される可能性が示されました。

2007/05/12

4月19日の日本経済新聞朝刊1面に、日本の薬事行政に関して「変化の兆し」を伝える記事が掲載されました。

日本経済新聞 2007年4月19日 朝刊

海外新薬、1年半で承認 厚労省、5年計画

厚生労働省は患者の要望が強い新薬などを使いやすくする仕組みを整える。使用の承認に必要な治験(臨床試験)を製薬会社が素早くできるよう、複数の国で同時に効能を検証する「国際共同治験」を推進。海外で開発された薬などの承認までの期間を現在の約4年から1年半程度に短縮する。患者の選択肢を増やし、国内医薬品の質の向上につなげる。

厚労省は月内に詳細を詰め、医薬品の質の向上に関する5カ年計画をまとめる方針だ。日本は新薬承認に時間がかかり、欧米で一般に使える薬が国内では使えない「ドラッグラグ(薬の時間差)」と呼ばれる問題が深刻化している。

記事冒頭に記された「患者の要望が強い新薬」には、言うまでもなく「ムコ多糖症」の治療薬が含まれます。当会は、当時国内未承認の状態が続いていた「ムコ多糖症」1型ハーラー症候群用の治療薬「Aldurazyme」をはじめ、欧米で承認・使用されている「ムコ多糖症」用の治療薬の早期承認を求め、2006年6月27日、厚生労働省へ出向き、赤松正雄副大臣(当時)に要望書を提出しました。

この際に当会から強く要請したのは、単に「ムコ多糖症」の未承認治療薬問題を解決するだけでなく、代替治療法のない疾患のために海外で開発された新薬を、国内でも速やかに承認できるよう、抜本的な制度改革を行っていただきたいということでした。今回明らかになった厚労省の5ヵ年計画における海外新薬への新たな取り組みと制度改善策は、当会の要望と合致する部分が多く、「国内医療品の質の向上」が実現することになれば、歓迎すべき変化と言うべきものです。

公表された内容の中で特筆すべき点は

こうした改善策が実現し、現在約4年もの時間を要していた海外新薬の国内承認を、1年半ほどに短縮しようというのが厚労省の目標です。

さてこうした目標が実現できるのかについて懸念材料をあげるとすると、まず「国際共同治験」の拠点に日本を含めるかどうかを決めるのは、薬剤の開発を手がける企業であり、日本での治験が経費などの点からみて魅力のあるものでなければ、厚労省が希望をしても海外と同時の治験が国内で行われるとはかぎらない、というのが一点目。

さらにもうひとつ、審査機関の人員増加について言えば、人を倍に増やせば審査機関が半分になる、というほど単純な話ではないという点。某製薬会社の役員によると「『医薬品医療機器総合機構』の審査担当者の能力には、現状でも大きなバラつきがあり、経験ある審査官に当たれるかどうかでその後の展開が大きく変わってくる」とのこと。また「給与・待遇の点などで決して恵まれているとはいえない審査担当者の職に、有能な人材が短期間に数百人も応募してくる可能性は薄い」という点も当会事務局に対しご指摘されました。

厚生労働省による薬事行政改革への取り組み姿勢は評価するべきでしょう。是非とも新聞の見出しのとおり「海外新薬 1年半で承認」となってほしいものです。しかしながら、現実の課題は容易に解決できるものばかりではなく、これから実施される5ヵ年計画ですべての目標を達成するためには高いハードルをいくつも越えていかなければならないでしょう。国民の生命を守り、「ドラッグラグ」や「医薬品の空洞化」を防ぐには、より一層の努力が必要とされていることは明白です。

当会は立法・行政に対して、「ムコ多糖症」のみならず、全ての疾患のための海外新薬が日本でも適切に遅滞なく承認・使用されるための、抜本的で具体性のある制度改革を実現していただけるよう、引き続き働きかけていきます。

引き続き、皆様のご理解・ご支援を賜れますよう、よろしくお願い申し上げます。

ムコ多糖症支援ネットワーク・耀くん基金