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活動報告

当会はムコ多糖症の若手研究者・アドリアナさんに研究助成金を交付します。

ムコネットでは、発会以来、皆様方よりお寄せいただいた募金を、ムコ多糖症の治療や診断技術を研究している国内外の研究者に、助成金として交付する活動を続けております。

これまでに、国内では島根大学医学部で「新生児マススクリーニング」の研究をされ、厚労省の研究班長も務めておられる山口清次教授、そして海外ではセントルイス大学でムコ多糖症4型モルキオ症候群の治療薬開発などに尽力されている戸松俊治博士に対し、研究支援を行ってまいりました。

当会は、今回あらたに、ムコ多糖症の若手研究者で、現在は、セントルイス大学の戸松研究室でご活躍中のアドリアナ・モンタニョ博士への研究助成を行うことを決定しました。

主にムコ多糖症4型モルキオ症候群の研究に従事され、12年におよぶ研究活動中、岐阜大学など日本の研究機関でも仕事をされた経験をお持ちとのこと。引き続き、ムコ多糖症の治療薬研究で大きな成果を収められ、患者たちに希望の光をもたらしてくださることを願ってやみません。

ムコ多糖症支援ネットワーク・耀くん基金

以下に、アドリアナさんご自身が書かれたプロフィールを掲載します。

アドリアナさんのプロフィール

アドリアナ マリア モンタニョ
Adriana Maria Montano

私はコロンビアの首都ボゴタで生まれました。コロンビアは南アメリカ大陸の北部に位置し、その海岸部にはカリブ海北部と大西洋西部が拡がります。コロンビアが世界に誇れるものといえば、花とコーヒーとエメラルドそして「エルドラド(黄金郷)」の言葉で知られる自然と文化です。

私はコロンビアの首都ボゴタにあるLos Andes大学にて学部学生として在籍以来、生物学者として活動してきました。主な関心は生物化学と分子生物学の分野です。修士終了後は、同大学生物化学研究センターにて学部学生時に培った知識および技術に研鑽を磨き、それをもって研究活動に従事してきました。先天性代謝異常症の病気と出会ったのはその頃のことです。希少性が高い病気だけれども大変重要であるという事に気がつきました。

その頃、私はテイーサックス病と呼ばれる神経変性疾患を研究対象としていました。テイーサックス病はユダヤ系人民に非常に高頻度で発症する病気です。

そのような先天性代謝機能障害の仕事をしていた時、私はコロンビアにおいて身近な方でモルキオ症候群の患者に会う機会を得ました。同時に日本における(岐阜大学の)折居忠夫博士の研究団による最新の研究業績を読み、モルキオ症候群について、大きな関心をもつようになりました。また、コロンビアでムコ多糖症の国際学会が開催された折に、(モルキオ症候群の治療薬を開発中の)戸松先生が招待講演者として来られ、先生とお話しするうちに、日本へ留学してこの分野での研究を目指す決意をいたしました。日本で折居教授をはじめとする研究者の方々と働くことは叶いそうもない夢でしたが、幸いにも日本で博士号を習得するために文部省奨学金を認めてもらうことにより実現できました。

私は6ヶ月間、名古屋大学で日本語を学び、そして4年半もの間岐阜大学の福田および祐川両先生の指導の下、モルキオ症候群に関する仕事を岐阜大学医学部小児科で行いました。

私は患者の分子分析において、マウスにおけるモルキオ遺伝子の解明と特徴づけに関する仕事を行いました。5年にもおよんだ日本での留学時代に、私はモルキオ研究に関連した多くのことを学んだだけではなく、日本文化と社会に関してもまた多くのことを学びました。日本政府が私に与えてくださった大きなチャンスに本当に感謝しています。非常に異なる背景の出身である人々の、異なる考え方と様々な問題への異なる取り組み方に触れ理解することは、大変魅力的でした。

その頃、戸松先生がムコ多糖症研究のためアメリカに居られたので、日本での博士号習得後は、戸松先生の研究室でモルキオ症候群のためのマウスモデル開発をするという研究を続けるためにアメリカに渡りました。その後、私は日本学術振興会の奨学金を与えられ、2年間ほど神奈川県葉山市にある総合研究大学院大学で働き、そこでは私はケラタン硫酸についての研究をすることに興味関心をそそぎました。ケラタン硫酸とはいくつかのムコ多糖症で蓄積され、モルキオ症候群においては特定の分子です。さらに、私はそこで分子進化論についての仕事を行いました。

その後、再び戸松博士の研究室に戻り、モルキオ症候群治療発展の仕事を続けてきました。モルキオモデルマウスの構築、それらの特徴づけ、酵素の特徴づけなど、その他にもまた多く仕事を行いました。

これとは別に、神戸薬科大学ではグルコサミノグリカン、別名ムコ多糖(ケラタン硫酸、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸そしてヒアルロン酸)の仕事に従事した経験もあります、この機会は私に糖鎖生物学の世界において多大な見識を与えてくれました。

科学者にとって重要なことは、開明的な考えのもとに日々研究に精進し、その結果として社会に貢献していくことだと考えております。

現在まで私は12年間ムコ多糖症の仕事を日本とアメリカで続けてきました。私の希望としては、今後もモルキオ患者のための治療発展に尽力する戸松先生および研究室の仲間と共に働いていきたいと思っています。私共の仕事は酵素補充療法の開発のゴールに非常に近い所まできています。そして、酵素補充療法は、他のムコ多糖症の型において多大な成功を収めてきました。モルキオ患者さんとご家族、そして日本におけるムコネットのような患者さんの団体の助けを借りて、夢のゴールにたどりつきたいと考えております。ムコネットと支援者の皆様のご理解・ご協力をなにとぞよろしくお願いいたします。

Adriana Maria Montano

左がアドリアナさん・右が戸松俊治先生
左がアドリアナさん・右が戸松俊治先生