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ほっとコラム

ごめんね、間に合わなかった

2006/02/05

2月の「おきなわマラソン」でチャリティランをしてくれるムコネットメンバー達を応援していただこうと思い、沖縄にお住まいのムコ多糖症の子供さんを持つお家5件に電話をしてみる事にしました。
仕事柄、電話を掛ける事には慣れているとは言え、初めて掛けるお家なので、まず、耀と同じ2型(ハンター症候群)のひでちゃん(私の長男・耀よりひとつ年上の2年生)のお家に掛けてみました。 ムコ多糖症は症状により7つのタイプに分かれています。ひでちゃんと耀のタイプは同じ2型なのです。
夕方の5時を過ぎていたので、もしかしたらひでちゃんが出てくれるかな?

・・・電話口に出たのはおばあちゃん、ママは仕事に行ってお留守との事。
耀の事を説明したら、「沖縄でも1ヶ月遅れで、テレビを見ましたよ」とお話して下さったので 、
「ひでちゃんのお加減はいかがですか?」
「・・・あぁ、孫ですか?孫は去年亡くなりました」

言葉が見つかりませんでした。
ひでちゃんは小学1年生の時に、ムコ多糖症のために亡くなったのです。
ランドセルは背負えたのでしょうか?
お友達と遊べたのでしょうか?
楽しい思いをいっぱい出来たのでしょうか?

かわいい盛りのひでちゃんを亡くしたママの気持ちを考えると胸がつぶれる思いです。

「2年前に大阪の集まりに行ったのですよ。その時にお会いしていますかねぇ?」
年に一度、ムコ多糖症の患者会が、東京と大阪で交互に開催されます。
その会合にわざわざ沖縄から、参加されていたというのです。
藁をもすがる思いで、何か情報はないかと来られていたのに間違いありません。

ひでちゃん、お薬が間に合わなくてごめんね。
耀くんママは、ひでちゃんに会いたかったよ。
涙が止まらない・・・
ごめんね、ごめんね、ごめんね。

中井まりの日記より

事務局注

ムコ多糖症2型ハンター症候群の治療薬は、現在、アメリカの厚生労働省にあたるFDA(食品医薬品局)で、販売承認の審査をしています。3年近く前にアメリカ他先進国で販売されたムコ多糖症1型用治療薬は、今なお、日本では承認されておらず、患者さんたちに届いていません。

この事に関して、以前、日本で「ムコ多糖症」治療薬の販売権利を持つ製薬会社の幹部の方は、「患者さんは2年以上も待ってますが、あまりに長くないですか?」という問いに、居直りともとれるお答えは発せられました。
「2年や3年というのが長いか短いかを議論して、何か意味があるのですか?」。

はい、意味があるのですよ。とっても重い意味があるのです。「ムコ多糖症」の患者さんたちは、一日千秋の思いで治療薬が届く日を待っているのですよ。亡くなった「ひでちゃん」も治療を待ち望んでいた患者さんの一人です。健常者のあなたには、「ひでちゃん」や親御さんのお気持ち、分かりませんか?

ムコ多糖症2型の治療薬は、この春にもアメリカで承認の可否が下りますが、日本の患者さんたちが使える日はいつになるでしょう?製薬会社幹部は、「申請書類を作るのに時間がかかる」とおっしゃいます。昼夜を問わず、いろいろとお忙しいようですけれど、時間と資金を、他の目的ではなく、申請準備のために傾注し、一日も早く承認申請をしていただきたいと切に願います。