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千住の人の気持ち

2005/11/11

11月7日。秋晴れが広がる大阪の青い空とは裏腹に、私は暗い気持ちでいました。
ムコ多糖症・II型ハンター症候群の長男・耀が大阪市立大病院で心臓のエコー検診を受けました。医師の所見。「手足や骨の変形が進んでいるのと同様、心臓の弁も変形している」、「心臓付近で、血液の一部逆流がある」、「一度変形した心臓の弁は、治療薬を使っても、2度と元には戻らない」。

「ムコ多糖症は進行性の難病です」。言葉にすれば、わずか14文字。しかし、我が子が直面している現実は、たとえ何万語を尽されたところで、親である私には納得がいかないのです。病院からの帰り道、どれほど気が重かったか、ご想像いただけますでしょうか?

そんな私と耀を自宅で待っていてくれたのは、郵便局から届けられた、一通の振込み通知書でした。「ムコ多糖症支援ネットワーク」の口座への寄付金の振込み。贈り主は、「千寿本町小学校」。あの、8月の、小松さんたちがライブをやってくれた、あの小学校。振込状にはこう書かれていました。
「(千住の)「開かれた学校づくり協議会」主催でマジックショーを開催しました。会長より当日あいさつの中で募金を呼びかけました。 当日、その場でということ、参加者が子供が多かったということで 金額は少ないですが、千住の人の気持ちです」。

ただただ驚いて、胸の奥から熱いものがこみ上げてきました。あのライブ以来、千住の人たちは、ムコ多糖症の患者のことを忘れないでいてくれたのです。今日も、千住の人たちは、患者たちを思いやってくれていたのです。「千住の人の気持ちです」。これもまた、ほんの短い言葉です。でも、人の温かさ、人情があふれ出てくるようなこの言葉に、何とお礼を申し上げたら良いか、私にはどれほどの言葉を用いたところで言い尽くせるものではありません。

もとより、寄付金は治療薬の認可や新生児スクリーニングの開発のために寄せられたものです。私や耀のためではありません。でも、千住の人が、寄付と一緒に送ってくださった優しさと励ましのお陰で、私たちは、今日という日を乗り越え、明日へと向かう勇気を持たせていただきました。

「千住の人の気持ち」、決して忘れません。「千住の人の気持ち」、本当にありがとうございました。

中井 まり・耀